XX-impressions(キルアの場合)





です。お世話になります。」

横一列に並ばされた俺達に向かって、そいつはやけに丁寧に頭を下げた。

面白いほど隙だらけだった。「世話」というのだからそれなりのことがあるのだろうに、こんなんで大丈夫なのかな、と初対面ながら同情心が湧く。なぜか手が血まみれだったけど、そのほかはどこをとっても普通、というような出で立ちだったから、余計に不憫だ。

でもそれより、俺は嬉しかった。異常なくせに単調な日常に少しでも違う流れが入るのが楽しみだった。だから、さっさとくたばるなんてことのないよう最低限目は向けてやろうと心に決めて、できるだけ親しみやすく返事をする。

「よろしくな、
「はい、よろしく」

ごく自然に返された言葉と笑顔に、一瞬だけたじろいだ。しかしそれが押し付けがましいものでないのに気付くと、すっと肩が軽くなる。緊張も警戒もいらなかった。こいつに危険性はないと、第六感のようなものが言っている。
――これは、少しどころか全然違う。でも馴染めないものでもない、かもしれない。
人付き合いなんて無縁だけど、こいつとなら、ちょっとは上手く付き合えるような気がするのだ。